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最終更新:2026年10月11日

定期テスト対策は一夜漬けで足りるのか|思い出す練習と間隔を空けた復習の研究

定期テストの範囲表が配られた日、教科書のページに印をつけて復習を始めます。順に読み直しているうちに、答えを隠して確かめる機会を持てないまま前夜を迎えることもあるでしょう。前日にまとめて読む勉強と、日を分けて思い出す勉強では、何が違うのでしょうか。覚えた内容を後まで残すには、読み直すだけで終えず、答えを見ずに思い出す機会を間隔を空けて設ける方法が有望ですが、複雑な内容の理解までそれだけで補えるとは言えません。

この記事の要点
  • 読み直した直後の覚えやすさと、時間がたった後の思い出しやすさは分けて考えます。
  • 小テストの利点は、点を付けることより、答えを見ずに記憶から取り出す練習にあります。
  • 復習の間隔は、どれくらい先まで覚えていたいかと合わせて考える必要があります。
  • 複雑な教材や、別の能動的な学習との比較では、小テストの優位が明確でない場合があります。
  • 家庭では、答えを隠して取り組み、照合し、後日に同じ内容を確かめる小さな試行から始めます。

定期テスト対策は一夜漬けで足りるのか|思い出す練習と間隔を空けた復習の研究

定期テストの範囲表が配られた日、教科書のページに印をつけて復習を始めます。順に読み直しているうちに、答えを隠して確かめる機会を持てないまま前夜を迎えることもあるでしょう。前日にまとめて読む勉強と、日を分けて思い出す勉強では、何が違うのでしょうか。覚えた内容を後まで残すには、読み直すだけで終えず、答えを見ずに思い出す機会を間隔を空けて設ける方法が有望ですが、複雑な内容の理解までそれだけで補えるとは言えません。

教科書を開くと見覚えがあることと、閉じても答えられることは、区別して確かめたい状態です。前夜の勉強を無駄だったと決めつける必要はありませんが、読んでいる最中の安心感だけでは、本番で使えるかどうかを判断できません。読み直しと小テストを比べた研究から、練習する時期と練習の中身を考えます。内申の配点は別の記事で扱い、ここでは計算に立ち入りません。

研究には海外の大学生を対象とした実験や、学年の異なる教室研究のまとめが含まれます。得点の上がり幅を予告するのではなく、次の復習で何を観察するかを決める材料として読み進めてください。

要点

  • 読み直した直後の覚えやすさと、時間がたった後の思い出しやすさは分けて考えます。
  • 小テストの利点は、点を付けることより、答えを見ずに記憶から取り出す練習にあります。
  • 復習の間隔は、どれくらい先まで覚えていたいかと合わせて考える必要があります。
  • 複雑な教材や、別の能動的な学習との比較では、小テストの優位が明確でない場合があります。
  • 家庭では、答えを隠して取り組み、照合し、後日に同じ内容を確かめる小さな試行から始めます。

読んだ直後の自信と、後で思い出せることを分ける

「昨日は覚えていたのに」という言葉には、どの状態を覚えたと呼んでいたか、という問いが隠れています。説明を目で追えば内容がわかる状態と、手掛かりの少ない答案用紙に書ける状態は同じではありません。研究でいう想起とは、覚えた内容を記憶から取り出すことです。答えを伏せて用語を言う、読んだ説明を自分の言葉で書く、といった行動がこれに当たります。

Roediger(2006)は、米国の大学生が文章を学ぶ実験で、繰り返し読む条件と、思い出すテストをする条件を比べました。直後の確認では読み直す側が有利でしたが、時間を置いた確認では、先にテストをした側の記憶がよく残る結果でした。一方、後で覚えていられるという自信は、繰り返し読む側の方が高まりました。これは確認する時期で結果が変わった実験であり、読み直しが無意味だという結論ではありません。

大学生の文章記憶を調べた結果から、一夜漬けなら何点取れるかを予測することもできません。それでも、勉強直後の感触だけを復習の終了条件にしない、という見方は得られます。内容を閉じた状態で確かめると、「読めばわかる」と「自分で出せる」の違いを家庭でも観察できます。

たとえば理科の用語を見て意味がわかっても、その用語を使って現象を説明しようとすると言葉が続かないことがあります。その場合は、さらに同じ行を眺めるだけでなく、どの部分が出てこないかを確かめる余地があります。反対に、説明そのものがわからないなら、先に教材や授業の説明へ戻る必要があります。思い出せなかったという事実は、子どもの評価ではなく、次に何を確かめるかの手掛かりとして扱います。

小テストの平均的な効果は、何との比較なのか

Rowland(2014)のメタ分析(複数の研究結果をまとめて計算する方法)では、読み直しに対するテスト練習の利点が検討されました。答えを見て選ぶ再認より、自分で答えを出す再生を用いた練習で、利点が大きいという結果でした。Adesope(2017)のメタ分析も、読み直しなどの比較条件に対する練習テストの有利さを報告しています。

教室での結果をまとめたYang(2021)は、222件の独立した研究から48,478人のデータを統合し、全体の効果をg = 0.499と報告しました。gは効果量、つまり集団間の差を得点のばらつきを物差しにして表した数で、論文では中程度の効果とされています。比べた相手の学習方法、練習と確認の問題形式、誤答への訂正などによって、その大きさは変わりました。海外を含む異なる学年・教科・実施期間の平均なので、定期テストの得点増加へ換算することはできません。

Agarwal(2021)は、学校や教室で行われた50件の実験を整理し、49件の効果量のうち57%が中程度または大きな利点を示したと報告しました。同時に、欧米の教育・経済環境などに偏った国々の外で実施された実験は6%でした。この割合からも、収録した研究の対象地域の偏りがわかります。実験の期間もそろっておらず、年間を通した評定への効果まで確定したものではありません。

家庭で注目したいのは、平均の大きさだけでなく、今の勉強のどの部分を変えるかです。答えを見ながら写す時間の一部を、隠して答える時間へ替えるなら、研究で比べた条件に近い問いになります。すでに理由を説明しながら解いている子に、小テストを追加する場合は、別の比較です。教材名や練習回数だけで効果を見込まず、何をしていた時間が何に替わるのかを明らかにします。

間隔を空ける復習と、思い出す練習は別の工夫です

思い出す練習は「何をするか」の工夫で、分散学習は「いつ行うか」の工夫です。分散学習とは、同じ内容への取り組みを続けてまとめず、間隔を空けて配置することです。日にちを分けても毎回読むだけなら、想起の練習を加えたことにはなりません。反対に、答えを隠して続けて解いても、その場にまとめて行うなら、時間を分けた復習とは区別されます。

Cepeda(2006)は、言葉を思い出す課題について317件の実験を統合しました。復習どうしの間隔と、最後に覚えているかを確かめるまでの期間が、組み合わさって結果に関わると報告しています。覚えておきたい期間が長い条件ほど、最もよく残る復習間隔も長くなる傾向でした。

ここから「間隔は長いほどよい」と受け取ると、条件を落としてしまいます。試験が近い場合と、先の学習でも使いたい場合では、覚えておきたい期間が違います。また、最初から内容を理解していない状態で次の復習を先送りしても、説明を理解する工程の代わりにはなりません。予定表には同じ範囲へ戻る機会を置きつつ、その時にどこまで自力で答えられたかを見て調整する、という使い方が考えられます。

家庭での試行なら、学んだ日の確認だけで終えず、別の日にも同じ内容を確かめる予定を残します。最初は用語を答えられたのに、後では意味が曖昧だった場合、次の復習では意味も扱うようにします。予定を守れなかった時は、最初から全部をやり直すのではなく、今思い出せる部分と説明が必要な部分を確かめ直します。

複雑な教材では、読み直しを置き換えればよいとは限りません

定期テストには、用語を答える問題だけでなく、資料の関係を読み取ったり、筋道を説明したりする問題があります。van Gog(2015)は、複数の要素が絡み合う複雑な教材では、テスト練習の効果が小さくなり、消える場合もあると論じました。難しい問題ほど何も見ずに解く回数を増やす、という方針をそのまま支える根拠にはなりません。

de Jonge(2015)では、まとまりのある文章を使う実験で、読み直す条件に対するテストの記憶上の利点が見られませんでした。海外の文章記憶課題での結果であり、教材のまとまり方によって、読み直しとの比較結果が変わり得ることを示します。ここでは、文章内容のつながりを学ぶことと、個々の情報を取り出すことを分けて考える必要があります。この実験だけで、文章を学ぶ時には小テストが役立たないと一般化することもできません。

復習方法への期待 記憶・教室研究の知見 比較した学び方 学習者と課題
思い出す練習なら長く残る Roediger(2006)では時間を置いた確認で有利でした 文章の繰り返し学習 米国の大学生
小テストは教室でも役立つ Yang(2021)では平均的な利点がありました 読み直しなど異なる学習条件 学年・教科の異なる教室研究
長い文章も小テストに替えればよい de Jonge(2015)ではまとまりのある文章で優位が見られませんでした 同じ文章の読み直し 海外の文章記憶実験
他の勉強より小テストがよい Moreira(2019)では別の活動との比較は明確ではありませんでした 読み直し以外の能動的な学習 海外を含む教室の応用研究

Moreira(2019)は、教室研究の多くが、繰り返し読む条件や活動をしない条件と比べていたと指摘しています。概念どうしの関係を図にするなど、別の能動的な学習と比べた研究では、テストの優位は明確ではなく、差が見られないものもありました。海外を含む研究の比較で、対象や期間は一定ではありません。理解を深める活動をすべて削って小テストに替える判断には、この不確かさを残す必要があります。

答えられない状態を長引かせないための調整

想起の練習を始める前に、何を学んだかを確かめる時間が要ります。説明を読んでも意味がわからない子に、教材を閉じて答えることだけを求めると、理解に戻る機会を減らしてしまいます。van Gog(2015)が扱う複雑な教材での限界を踏まえると、初めて学ぶ難しい内容ほど、何を覚えるかを整理する工程を省かない判断が必要です。

たとえば数学なら、式を再現できても、なぜその式を選ぶかを説明できない状態があります。その場合は、答えだけを繰り返し書く前に、問題の条件と式の対応を教材で確認します。国語なら、内容を覚えていても、問いに合う根拠を本文から選べるとは限りません。こうした違いを無視すると、練習では正解できるのに、少し聞き方が変わると困る状態を見逃す可能性があります。

また、小テストを家庭で成績の審査のように扱う必要はありません。人に答えを待たれると負担を感じる子には、自分で答えを書いてから確認する形も選べます。何も出てこない状態が続くなら、見出しを手掛かりにする、扱う範囲を狭める、説明に戻るといった調整を検討します。

答えを確認しないまま進むことにも注意が要ります。自分では正しいと思った説明が教材と違っていた場合、間違いに気づく機会がないからです。Yang(2021)でも、海外を含む教室研究の効果は、誤答への訂正があるかなどで変わっていました。家庭では、答えられたかに加え、どこが違ったかを確認できたかも記録し、思い出せない時間だけを増やさないようにします。

家庭では、狭い範囲で後日の変化を確かめます

始める時は、次の定期テスト範囲から、授業で扱い、答えを教材で確かめられる部分を選びます。用語だけを覚えたいのか、その意味や使い方まで説明したいのかを、先に言葉にします。その上で、読む、隠して答える、照合する、別の日に確かめるという流れを試します。以下は研究の結果を参考に組み立てた家庭での確認手順で、研究と同じ効果を再現することが保証された計画ではありません。

記録は、後で学び方を選べる程度で十分です。「用語は出たが理由は説明できなかった」「図を見ると説明できた」と残すと、次に戻る場所がわかります。正誤の印だけだと、どこまで手掛かりを使ったかが見えなくなるため、その点も添えます。保護者が確認する場合は、結果を問い詰めるためでなく、教材のどの説明へ戻るかを一緒に探すために使います。

方法の違いを比べたい場合は、範囲の広さやもともとの理解度が違うと、単純な比較にならないことにも注意します。読み直した範囲の方が難しかったなら、その結果だけで思い出す練習が優れていたとは判断できません。家庭の記録で厳密な実験を目指す必要はありませんが、内容の難しさや手掛かりの有無は書き添えられます。直後にできたかだけで終えず、後日に何が出てきたかを見て、次の復習で残す方法を考えます。

よくある質問

前日しか時間がない時も、思い出す練習を入れますか

すでに理解した範囲なら、答えを隠して確かめ、出てこなかった所へ戻る使い方が考えられます。ただし、前日に小テストを加えれば間隔を空けた復習と同じになるわけではありません。初めて学ぶ内容は、先に説明を読む時間も必要です。今回の試験後には、どこで思い出せなかったかを残し、次の範囲では早めに戻る機会を設ける材料にします。

口で答えるだけでもよいのでしょうか

口頭でも、答えを見ずに記憶から取り出すなら想起の練習になります。ただし、言えたことと答案として書けることは分けて確認したい点です。漢字や英語のつづり、途中の式が必要な課題なら、紙に書く場面も設けられます。定期テストで求められる答え方も確認し、口頭で言えた内容を実際に書けるか確かめます。

小テストで間違いが多い時は、向いていないのでしょうか

間違いが多いだけでは、方法が合わないのか、内容の理解がまだ十分でないのかを区別できません。教材を開けば説明できるのか、開いても意味がわからないのかを先に確かめます。前者なら範囲や手掛かりを調整し、後者なら説明へ戻る選択が考えられます。苦しさが続く場合は回数を増やすより、学校の先生に困っている箇所を具体的に伝えてください。

この記事の限界

思い出す練習の根拠には米国の大学生の記憶実験、教室研究の統合、複雑な教材の総説が含まれ、学年・教科・比較条件・確認までの期間が異なります。中学生だけを対象にした教室研究は採用資料になく、日本の定期テストや都立入試への効果を直接示す証拠は十分ではありません。

家庭での手順は結果を観察する案で、理解のつまずきや強いテスト不安が続く場合は学校の先生や専門家と課題の示し方を相談する必要があります。次の復習では教材を閉じて説明した内容を残し、日を置いて同じ内容を説明できるか確かめてください。

参考文献

  1. Roediger. Test-enhanced learning: taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science. 2006;17(3):249-255.
  2. Rowland. The effect of testing versus restudy on retention: a meta-analytic review of the testing effect. Psychological Bulletin. 2014;140(6):1432-1463.
  3. Adesope. Rethinking the Use of Tests: A Meta-Analysis of Practice Testing. Review of Educational Research. 2017;87(3):659-701.
  4. Yang. Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin. 2021;147(4):399-435.
  5. Agarwal. Retrieval Practice Consistently Benefits Student Learning: a Systematic Review of Applied Research in Schools and Classrooms. Educational Psychology Review. 2021;33(4):1409-1453.
  6. Cepeda. Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin. 2006;132(3):354-380.
  7. van Gog. Not New, but Nearly Forgotten: the Testing Effect Decreases or even Disappears as the Complexity of Learning Materials Increases. Educational Psychology Review. 2015;27(2):247-264.
  8. de Jonge. The Effect of Testing on the Retention of Coherent and Incoherent Text Material. Educational Psychology Review. 2015;27(2):305-315.
  9. Moreira. Retrieval Practice in Classroom Settings: A Review of Applied Research. Frontiers in Education. 2019;4.

配点表を読み終えたら、次は自分の答案を一文ずつ見直す番です。

  • 向く人: 都立推薦の作文や適性検査の作文を、一文ずつ大人に直してもらいたい中学生と小学生
  • 向く人: 内申と当日点の仕組みを読んだうえで、残りの月日に何を積むかを親子で決めたい人
  • 向かない人: 立川駅の近くで、学校帰りに歩いて寄れる教室を探している人
  • 向かない人: 答案を直されるより、大人数の教室で競い合うほうが力の出る子

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よくある質問

前日しか時間がない時も、思い出す練習を入れますか

すでに理解した範囲なら、答えを隠して確かめ、出てこなかった所へ戻る使い方が考えられます。ただし、前日に小テストを加えれば間隔を空けた復習と同じになるわけではありません。初めて学ぶ内容は、先に説明を読む時間も必要です。今回の試験後には、どこで思い出せなかったかを残し、次の範囲では早めに戻る機会を設ける材料にします。

口で答えるだけでもよいのでしょうか

口頭でも、答えを見ずに記憶から取り出すなら想起の練習になります。ただし、言えたことと答案として書けることは分けて確認したい点です。漢字や英語のつづり、途中の式が必要な課題なら、紙に書く場面も設けられます。定期テストで求められる答え方も確認し、口頭で言えた内容を実際に書けるか確かめます。

小テストで間違いが多い時は、向いていないのでしょうか

間違いが多いだけでは、方法が合わないのか、内容の理解がまだ十分でないのかを区別できません。教材を開けば説明できるのか、開いても意味がわからないのかを先に確かめます。前者なら範囲や手掛かりを調整し、後者なら説明へ戻る選択が考えられます。苦しさが続く場合は回数を増やすより、学校の先生に困っている箇所を具体的に伝えてください。